FOUNDER'S ADDRESS

by Reverend Sun Myung Moon

World Convention of the
Federation of Island Nations for World Peace

June 17, 1996
Tokyo, Japan

                    世界平和のための島嶼国家連合世界大会
                             創設者メッセージ  

                            1996年6月17日
                           京王プラザホテル、新宿

本日、この意義深い会議に世界からお集まり下さいました尊敬する御来賓の皆さま
、そして日本の各界を代表して御参席下さいました諸先生のみなさま方!

わたくしは、世界平和の実現に対する皆様方の日頃のご尽力を高く評価し、心から
感謝するものであります。そして、このたびの会議が世界平和に対するより一層の
英知を結集し、来るべき21世紀を輝かしい平和の時代として迎えることのできる
よう、友誼と理解を深めるよき機会となることを願います。また、この会議によっ
て世界平和実現に対する私達の責任と使命を分かち合い、揺るぎない決意をお互い
に固めることができるなら、これ以上の喜びはありません。

さて、「島嶼国家連合」という組織をわたくしが皆さまの前に提唱し、創設するに
至った経緯と背景をまず説明することからはじめたいと思います。
 
人類歴史における文明の発展の流れを見ますと、河川流域に発生した古代文明は、
ギリシャ、ローマ、イベリア半島を含む、地中海文明へと移っていきました。次に
、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ大陸を経て、島嶼国家イギリスを中心とする
大西洋文明として結実しました。さらに文明はアメリカ大陸を経て西へと移動し、
今や、かつてのイギリスと同じく島嶼国家日本を擁するところの太平洋時代を迎え
ています。

このような文明史の推移を神の摂理として理解しますと、今日、天運の中心に置か
れているようになった島嶼国家がまさに日本であると考えざるを得ません。日本は
神の摂理を通して、人類歴史の表舞台に立ったのであります。日本の繁栄は神の摂
理との関係において、はじめて説明し得るものであり、その他の理由だけでは説得
の力を持ちま$;$s!#

日本が神の摂理の中に立っているとするならば、私たちの関心は、日本が担うとこ
ろの摂理的使命の上に注がれなければなりません。なぜなら、神の摂理は世界平和
の実現であるからです。世界の平和は、まさしく万人共通の願いであります。

世界中の島嶼国家がここに連合し、世界平和に対する日本の使命を自らの国の使命
と感じつつ、島嶼国家の世界的連合による平和創建国家連合体が完成すれば、人類
社会にとってこれほどの希望はありません。

このような願望のもとに、わたくしは「島嶼国家連合」の創設を提唱いたしました
。といいますのは日本が今日まで受けてきた天運を全世界の島嶼国家が相続し、世
界平和創建のための国家群となることによって、一日も早く世界平和の実現が可能
となるように願わずにはおれないからです。

ところで、島国の特徴はどのようなものでしょうか。地球は陸地と海洋から成り立
っています。最も単純な最初の生命の誕生は、水の世界、すなわち海を舞台に繰り
広げられたと今日の科学は説明しています。このことは海が生命をはぐくむ母の役
割を果たしていることを物語っています。このようにして海を女性の象徴と考える
ならば、陸は当然、男性を象徴していると考えることが出来ます。従って、海洋に
位置する島嶼国家は女性を表す国家であり、大陸国家及び大陸に連なる半島国家は
男性を表す国家であると言えます。

島嶼国家が女性型の国家であるとするならば、女性の特性である対象性、依存性、
受容性などの特質をそのまま持っていると見ることができます。一方、男性型の国
家としての大陸国家は、男性の特性である主体性、創造性、授与性などの特質を持
っていると見ることが出来るでしょう。

島嶼国家の果たすべき役割は、人類社会において女性が果たさなければならない役
割と丁度同じであると言えるでしょう。女性は結婚して心から夫を愛し、夫に仕え
、また、夫の愛を受けて美しく輝く存在です。そして、子どもを生み、子どもに愛
を注ぎ、立派な家庭をつくり上げていくことに喜びを感じるものです。女性の中心
的な使命はこのように夫と子どもに対して注がれる限りない愛の中にその特徴があ
ると言えるでしょう。特に、母親は子供に乳を与え、養育し、教育を施す重要な責
任を担っています。島嶼国家の役割もまた、このような母親の役割と同様の内容を
持っていると言えます。

ところで、神の人類救援摂理の歴史を見るときに、そこには必ず神の摂理を担当す
る中心民族と中心宗教があります。旧約時代にはイスラエル民族を中心とするユダ
ヤ教が神の救援摂理を担当しましたし、新約時代には欧米のキリスト教信徒たちを
中心とするキリスト教がその担い手でありました。歴史を導いてきたこのユダヤ教
、キリスト教の核心は、第一に、唯一絶対なる神がいますということ、第二に人間
始祖の堕落と罪、そしてこの罪からの救いのためにはメシヤが必要であるというこ
と、第三に人類の罪悪歴史には必ず終末があり、神の国が到来するということであ
ります。そのような救援摂理観により、旧約時代がメシヤ降臨の待望を中心としな
がら、その歴史形成を成しましたように、新約のキリスト教時代は再臨のメシヤを
待望し、彼を真の父として迎え、罪を清算し、神の国を完成するという希望と信仰
を中心として形成されてきました。

このような、神の救援摂理の歴史的背景は、神の心情と事情に立脚しており、従っ
て、その神の摂理を読みとるためには、時代の徴候を見極める目が必要となります
。1945年、第二次世界大戦が終了したとき、世界のキリスト教は神の救援摂理
史上、極めて重要な時点を迎えておりました。その中心に位置していたのが、イギ
リスとアメリカ、そしてフランスです。

第一次、第二次の世界大戦において、イギリス、アメリカ、フランスの三大キリス
ト教国家は、連合国の中軸として、民主主義の勝利のために戦い、事実、二度とも
勝利を収めたのでした。これは、まさに神の摂理でした。従って、1945年、第
二次世界大戦が終結したその時を契機として、英米仏の三大キリスト教国家が、自
国中心主義に陥らず、世界平和の実現のために、力を合わせて、神の真の愛を実践
し、犠牲と奉仕の精神で人類に尽くすことが出来ていたならば、国際連合を中心と
して、人類の恒久平和が達成されていたことでしょう。

しかし、実際の歴史的事実は世界平和の実現ではなく、共産主義の伸張とそれに伴
う多くの紛争、それにキリスト教国家の霊的衰退及び道徳的退廃でありました。戦
後、40年余りもの間、米ソ対立の冷戦時代をくぐり抜けてきた人類は霊的な荒野
をさまよい続けたのであります。

この間、わたくしは神の啓示に基づいて世界平和のビジョンを実現するために、世
界の人々の前に、神の御理想と摂理を明らかにして参りました。それとともに、世
界平和の実現に必要と思われる組織や機関を数多く設立して参りました。この世界
平和の運動は今、完成間近の仕上げの段階にさしかかっていると申し上げてよいで
しょう。
さて、神の理想とは何でしょうか。神の創造理想はもちろん、平和な世界であるこ
とは言うまでもありません。平和な世界は、そこに分裂や争いがあってはなりませ
ん。
統一と調和と喜びが充満する社会でなければなりません。それを可能ならしめる最
大にして最高のものが、すなわち真の愛であります。

真の愛は統一の要因であり、喜びと幸福の源泉であります。それ故、平和の前提は
真の愛であると申し上げるのであります。

神の真の愛は、どこに根を下ろすのでしょうか。真の愛の定着地は家庭であります
。アダムとエバが完成して、神を中心とする結婚により、理想の家庭を作ることが
できたならば、そこに真の愛が定着するのであります。そして、真の愛の家庭こそ
が真の平和を生み出す基地となるのです。

人類がいまだ真の平和をつくり出すことができないでいるのは、真の愛を知らない
からであります。なぜでしょうか。その答えは聖書に記されている通り、人類が神
から離れたことにあります。人類始祖アダムとエバの堕落以来、この世界に平和が
失われたのであります。かわりに分裂と闘争が人類を支配するようになりました。
個人においては心身の葛藤が、家庭においては夫婦の対立、そして社会においては
人間同士の闘争が絶え間なく起きているのです。

結論的に言うならば、真の愛の喪失という根本的な原因によって全ての問題が起き
ているということができます。人類の堕落は真の愛の喪失を意味しておりました。
従って、アダムとエバが失った愛を復帰するために、イエスは真の愛の王として降
臨されたのであり、また再臨のメシヤも真の愛を立てるために来られるというのが
、救援摂理からみた論理の帰着となるのであります。

世界平和のためのわたくしの今日までの歩みは、人類がいかに真の愛を取り戻すか
という一点に集約されたものでありました。今日の道徳的退廃の世界を見るときに
、神の悲しみがいかばかり大きいかをわたくしは慟哭する思いで見つめて参りまし
た。ソドム・ゴモラと同様の淫乱の弊害が世界を覆い、未来を担うべき若者たちが
フリーセックスの中に陥っていく姿は、神の最大の悲しみであり、それはまさしく
人類の滅亡につながる道であります。

しかし、ここに一つの希望と喜びを見いだす道があるとすれば、それは偽りの愛に
よって世界が破滅していくことをくい止めるために、女性達の活躍が世界に拡がり
つつあるということです。これは大きな希望です。すでにこの日本の国から女性達
が世界160カ国に出かけ、「為に生きる」精神を実践していることは喜ばしい限
りです。危機を救うのは女性です。今、我々は女性の力を尊重しなければならない
時に来ています。国でいえば、島嶼国家がまさに女性の立場に当たります。

各国の代表、御来賓の皆さま、皆様方の国は島嶼国家であります。島嶼国家は女性
または母親としての特性を共通に備えておりますから、共に連合して力を結集し、
人類の前にその母親としての使命をよく果たし得るように協力し合わなければなり
ません。わたくしが、「島嶼国家連合」を提唱し、創設したのもこのような理由に
基づくものです。

人類歴史を見てみますと、女性は良い意味でも悪い意味でも、重要な役割を果たし
てきました。

聖書によれば、人類の歴史はアダムとエバの堕落という悲劇的な事件から出発いた
しました。人間の堕落の結果に対して、私たち全てが責任を負い、これを解決して
いかなければならないのは当然のことです。しかし、エバが最初に堕落して罪悪の
歴史をスタートさせてしまったという聖書の記述を見るときに、人類歴史はエバの
堕落を女性達が先頭に立って償うべき時代がやってくることを摂理的に要求してい
ます。

20世紀の男女平等の思想的風潮、また女性の真なる解放を求める運動などは、女
性が世界平和のために立ち上がり、世界的に大きく働くことの出来る環境を整えて
くれたと見ることが出来ます。

このような神の摂理をわたくしはよく知るがゆえに、1992年の4月私の妻と共
に、「世界平和女性連合」を創設致しました。

この「世界平和女性連合」の運動は、遠からず、世界万民が参加する「世界平和家
庭連合」の運動へと発展し、真の愛を家庭の中に定着させることによって、理想の
世界、地上天国を建設せんとするものであります。

今や、女性の時代が90年代の世界的な風潮であり、女性の「愛」と「協調」、「
和解」と「調和」の精神が世界平和のために歴史的な貢献を果たす時代であると言
えます。

この世界的な「女性時代」は、そのまま女性の特質をもつ「島嶼国家の時代」でも
あるということになるのです。このように女性の時代と島嶼国家の時代は、深く結
ぶ付いています。女性が世界平和のために立ち上がる時は、島嶼国家もまた世界平
和のために立ち上がる時です。全ての島嶼国家が、世界平和の実現という光栄ある
歴史的使命を果たすときが今なのです。これほどの誇るべき使命が他にあるでしょ
うか。

さて、ここでしばらく女性がかかわった人類の歴史を振り返ってみましょう。神へ
の強い信仰に立って偉大なあかしを打ち立てた素晴らしい女性達がいたことがわか
ります。アブラハムの妻サラ、イサクの妻リベカ、ヤコブの妻ラケルの3人の女性
達がいなかったならば、イスラエル民族の歴史はなかったと言っても過言ではあり
ません。また、死をかけて神に祝福された血統を残そうとしたタマルの絶対的信仰
がなかったならば、旧約聖書に記されたメシヤの血統そのものが確立されていなか
ったでしょう。

タマルと同じように、イエスの母マリヤもまた神の聖なる血統を生み出すために、
絶対的信仰を天の前に貫いた女性でした。

エバの堕落は、人類に霊的な死をもたらし、その結果、人類は偽りの愛と偽りの生
命、そして偽りの血統の中で呻吟するようになりました。マリヤやタマルが歩んだ
道は、エバの堕落を償う道であり、死をも越える信仰の闘いによって、人類に真の
愛と真の生命、そして、真の血統をもたらさんとするものでした。

そして、また弱冠16歳のジャンヌ・ダルクが立ち上がったの時、存亡の危機に立
たされていたフランスは救われたのであります。16歳の乙女が一国を救い得るほ
どの力を発揮するのです。このような女性達の歴史の足跡をたずねるときに、目覚
めた女性達がいかに素晴らしい働きをするかがわかります。

女性の持つ「奉仕」と「献身」の美徳によって、人類愛に燃える「島嶼国家連合」
が誕生するとき、人類の前途には希望の火がともされることでしょう。

島嶼国家は最終的には大陸を求めて行かざるを得ません。それは女性が男性を求め
ざるを得ないのと同じ原理です。島嶼国家の存立の条件と言ってもよいでしょう。
従って、島嶼国家で成される世界平和の諸活動は、大陸国家へ良い影響を与えずに
はおきません。

このようにして、世界平和実現への善なる影響を島嶼圏から大陸圏へと及ぼす時、
世界の平和はより一層、実現へ近づくことでしょう。

目前に迫った21世紀の時代を、わたくしは人類が長く待ち望んできたところの「
地上天国」の輝かしい幕開けの新世紀となるよう切望するものであります。わたく
しが世界平和のために創設しました「世界平和連合」、「世界平和宗教連合」や「
世界平和女性連合」、「世界平和青年連合」、「世界平和総学生連合」とともに、
この度の「島嶼国家連合」は世界平和のために大きな役割を果たすものと確信いた
します。

そして、最終的には、これらすべての組織が、「世界平和家庭連合」として結実す
るものでなければなりません。なぜなら、平和の最終基地は「家庭」であり、家庭
の再建をおいて他に、世界平和への道はないからです。

「世界平和家庭連合」は、超民族的、超国家的、超宗教的理念のもとに青少年の教
育を立派に果たすことにより、理想の家庭を完成し、五色の人種が永生を謳歌する
ところの、人類一家族世界の歴史的聖業を成就するでしょう。皆さまの「島嶼国家
連合」もまた「世界平和家庭連合」の偉大な目的に対して、大きな貢献を果たすに
違いありません。

神の真の愛による人類一家族世界の夢が、「島嶼国家連合」によって更に一歩近づ
いていることを皆さまの前に感謝しながら、わたくしのメッセージを終わらせてい
ただきます。皆さまと皆さまのご家庭の上に神の導きと祝福がありますように!
ご静聴、誠に有り難うございました。

              1996年6月17日   東京・日本